こんにちは、モンジュです!
今回は医学部4年生が避けては通れない壁、CBTについての記事になります。
CBTとはいったい何なのか?どんな問題が、どうやって出題されるのか?など詳しく解説していきます。
それではいきましょう!
CBTとは?
CBTは全国の医学生が受ける共用試験の内の1つで、Computer-Based Testingの略です。
共用試験とは「臨床実習前に、実習を行うにふさわしい知識・技能・態度があるのか」を調べるための試験になります。
なので臨床実習に入る前の4年で受験することになります。
共用試験のCBTでは知識の部分を確認し、OSCEでは技能と態度を試験します。
CBTの特徴
CBT試験の特徴を挙げると次のような点になります。
- その名の通り、パソコンを用いて行う。
- 問題は6ブロック(A~Fまで)に分かれていて、各ブロックの試験時間は1時間
- 各受験者に出題される問題は異なる
- 出題はプール問題から75%、新作問題が25%
- 新作問題は採点されない
この中でも「新作問題」に関してもう少し説明を加えておきます。
採点されない新作問題とは?
医学部のCBT試験では、出題される問題の75%が前年までに一度は出題された問題です。
この部分の問題はプール問題といって、毎年データベースにプールされています。
このプール問題数は全部で約30,000問程あるようです。
そして、残りの25%がまだ一度も出題されたことのない新作の問題となっています。
この新作問題は採点されることは無く、成績に反映されることもないです。

成績に関係ないのに、なぜ新作問題を出題するのだろう?
新作問題が採点もされないのに出題される理由はその問題が”試験問題として適切であるかを確認するためだけに出題されているから”です。
例えば、重箱の隅をつつくような問題だと正答率がかなり低くなります。
このような問題は適切な問題とはみなされず、次年度以降にプール問題の仲間入りすることはありません。
つまり、初出題の問題は共用試験として適正な問題なのかどうかを調べているだけなので成績には反映されません。
どんな分野がどんな割合で出題される?

このCBTですが、出題範囲とその出題範囲の割合の目安があります。
出題範囲と出題割合は次のようになっています。
- 基本事項(4.2%)
- 医学・医療と社会(20.8%)
- 医学一般(37.5%)
- 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療(20.8%)
- 全身におよぶ生理的変化、病態、診断、治療(8.3%)
- 診療の基本(8.3%)
文字だとよくわからないので、円グラフにしてみます。

「医学・医療と社会」、「医学一般」の2つで半分以上の出題を占めていることが分かります。
試験対策はこの分野に力を入れればよいと分かりますね。
各ブロックの特徴
CBTで出題される問題は、ブロックごとに形式や出題範囲が異なります。
なので、その特徴をしっかり理解して対策することが必須となります。
ブロックA~D
このブロックは各60問の計240問が出題されて、それぞれの試験時間は1時間です。
出題範囲は医学教育コアカリキュラム的に言うと次のものになります。
- 「基本事項」
- 「医学・医療と社会」
- 「医学一般」
- 「人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療」
- 「腫瘍」
- 「免疫・アレルギー疾患」
- 「診療の基本」
そして問題形式は5つの選択肢から1つの正解を選ぶ形式になっています。
ブロックE
このブロックも試験時間は1時間ですが、特徴的なのは「多選択肢2連問形式」であるということです。
「多選択肢2連問形式」とは6個以上(目安は8~15個らしいです)の選択肢から一つの正解を選ぶ問題です。
加えて、関係ある問題が2問連続するので「多選択肢2連問形式」といわれます。
このブロックEでは2連問が20セット出題されて、計40問の出題となります。
そして、出題範囲は次のようになります。
- 「医学一般」
- 「感染症」
ブロックF
最後のブロックFも試験時間は1時間です。
このブロックFの出題形式は「順次解答4連問形式」と呼ばれます。
この4連問が10セット出題されるので、計40問の出題となります。
ここで注意したいのが、”順次解答”ということです。
5個の選択肢から1つの選択肢を選んでいく問題が、4つ連続するのですが、前に戻って解答し直すことができません。
よくわからないと思うので、「順次解答4連問」の例題を出題しようと思います。
例題1-1
28歳男性。
3週間前から続く水溶性下痢で来院。少しずつ体重も減少してきた。最も重要な医療面接は何か?
- 症状がよくなったり、悪くなったりする
- 喫煙者である
- 生ものをよく食べる
- 職業
- 輸血歴がある
この場合の正解は、1番です。クローン病の問題ですね。
そして「順次解答4連問」のブロックFでは次のように問題が続きます。
例題1-2
28歳男性。
3週間前から続く水溶性下痢で来院。少しずつ体重も減少してきた。
問診の結果、症状がよくなったり悪くなったりすることが判明した。
次に必要な検査は何か?
- 腹部単純X線検査
- 腹部CT
- 上部消化管内視鏡検査
- 大腸内視鏡検査
- 肛門鏡検査
このように一つ前の問題の正解が問題文の中に盛り込まれて、新しい問題が作られるようになります。
なので、ブロックFでは一度解答した問題をもう一度解答し直すことはできません。
ちなみに答えは4です。
「順次解答4連問」では診察から検査の流れを問題にするので、4つの問題構成は次のようになります。
- 医療面接
- 身体診察
- 検査
- 病態生理
採点と合格基準

CBTを受験した後、そのデータは公益社団法人「医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)」に送られます。
そして採点と成績の集計は各大学ではなくCATOによって行われてから、成績情報のみが各大学に返却されます。
ここで次のような疑問を持つ人もいると思います。

一人ひとり問題が異なるのに、どうやって採点するの?
不公平じゃない?!
CBTの成績はIRT値(項目応答理論)を用いて算出されます。
難しいことは説明できませんが、簡単に言うと「問題の難易度も得点に反映して成績を出している」ということです。
そして、問題の合格基準ですが、合格基準は各大学ごとによって異なります。
なので一概には言えませんが、60~70%程ではないでしょうか?
まとめ
今回は医学部4年で受験するCBTについての記事でした。
要点をまとめると、次のようになります。
- CBTは臨床実習前に基本的な「知識」が身に付いているかを確かめる試験
- パソコンを用いてブロックA~Fまでの問題(320問)に解答する
- 採点されるのはそのうちの75%のみ
- 各ブロックごとで出題形式が異なるので、注意する
- 合格基準は大学によって異なる
CBTがどのような試験なのかをしっかりと把握してから、きちんと準備すれは全く難しい試験ではありません。
新作問題が採点されない関係から、試験後の実感よりも10%上の成績が返却されることもあるそうです。
身構えすぎずに、要点を抑えて挑みましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではまた!
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